注目ニュースの後に検索で出る記事には気をつけるべき

本日は2017年11月1日、ここ数日、神奈川県座間市で起きた、大量殺人事件についての報道がメディアを騒がせております。それはネットでも同様で、各報道機関のサイトはもちろん、ネットでもそれを記述したサイトが非常に数多く出てきます。事件の概要や容疑者とされる人物の名前で検索した場合、報道機関に混じって数多くのサイトが出てきます。

しかし、それらのサイトの情報を鵜呑みにするのはとても危険です。

 

注目を集める事件の後に大量に生まれるサイト記事

ここ一ヶ月同じく大きな話題となったニュースとして、東名高速道路で発生し、夫婦が巻き込まれて死亡した事故がありました。その時にも事件がメディアで報じられた直後、同じようにネット上ではそれについて数多くのサイトでそれが書かれました。とりわけ目立ったのはワイドショー的なニュースをまとめているまとめサイトの存在。それらが事件直後に作成され、上位に出るようになります。
同様に今回の座間の事件のニュースも、容疑者名や関連する単語で調べると、報道各社の記事に混じってそういうサイトが上位に出てきます。むしろ報道各社の記事は現時点では「ニュース」にまとめられてしまうので、そのようなサイトが並ぶことになります。※参考

何故このようなことが起きるのかというと、世間の注目を集めるニュースの記事はネットでのアクセス数も非常に高まるからです。自分の運営していたブログ(Timestepsなど)の経験だと、2010年くらいに書いた記事であっても、それがテレビなどで話題になると、PVが10倍単位で膨れあがり、こちらも驚くくらいです。おそらくそれを狙ったものでしょう。アクセス数が増えればその分アフィリエイトの収入も増えるので。
そのあたり、以下の記事で詳しく書かれています。

「X容疑者の経歴は?」一報から1時間以内に作られるトレンドブログ、速さ競いデマも - 弁護士ドットコムニュース
人の名前を検索すると、「Xの本名や彼氏は?気になる結婚の噂もチェック!」「Y容疑者の顔画像や経歴は?フェイスブックとツイッターも!」といったタイトルのブログが複数出てきたことはないだろうか。このよ...

 

速度を重んじるあまり信憑性の薄い&問題のある記事が大量発生する

しかし、これらの中には他のサイトよりも一刻も早く出すためか、正確性を軽視するところが非常に数多くあります。座間のニュースにおいても現在報道機関さえまだ報じていないようなこと(つまりほぼ唯一の情報源である警察の発表がないもの)でさえ、書かれていることがあります。しかしそれはネットの書き込みや検索で適当に調べて裏をとっていないのか、かなり不正確な情報が書かれることが数多くあります。

さて、先に触れた東名高速道路死亡事故ですが、ここでもそのようなデマが書かれました。2chの根拠ない書き込みを鵜呑みにしたのかそれをもとに記事を作成し、全く無関係な企業が容疑者の勤務先として書かれ、中傷や嫌がらせが相次ぎました。

「ニュース見てないんか」「息子やろが」 東名追突死亡事故、デマ拡散で無関係企業に嫌がらせ 暴走する“ネット私刑”の恐ろしさ
神奈川県の東名高速道路で2017年6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した事故で、無関係な企業が「容疑者の勤務先」としてネット上で拡散され、中傷や嫌がらせの電話が殺到するといった被害が起こっていることが分かりました。嫌がらせの標的となったのは、福岡県北九州市にある「…

 

座間の事件においても、先に書いたようなサイトが検索結果として多数出てきますが、現時点(2017/11/1現在)で「生い立ちや家族は?」とタイトルについているような情報や、家族の写真とされるものが出回っています。
それらはワイドショーなどからのニュースによるものもありますが、かなり推測の混じった怪しいものが大量に入り込んでいます。それはネットの書き込みや、Twitterのそれですが、その発言者が本当に容疑者と関係しているのかもかなり不明なものも多いです。

これらはそのまま信じてしまうと、また前述の高速道路容疑者勤務先のようなデマを発生させる可能性はかなり高いのではないでしょうか。それはこの記事がその後に消えても同じことです。
そもそも、仮にそれが本当に正確な情報であったとしても、事件とは直接関係のない人や組織のことについて載せることは問題ではないかと思われます(さらに言えば、まだ容疑者の段階というのもあり)。そして被害者の個人情報ともなれば尚更です(今回、そのへん特に気を使わないと、風評被害に繋がりそうなものもあるので)。

 

訃報でも起こる類似の問題

これは事件事故ばかりではなく、有名人の訃報でもよくあります。すなわち誰かが亡くなりそれがニュースになった時、その芸能人のプロフィールや死因、ひいては個人情報をまとめた(ように思えるタイトルをつけた)ものが検索上位に出てくることが多いです。むしろそれらのサイトが上位に居座り続けることもよくあります(これは存命の人でも)。

それによって不正確な情報が広まること、さらには故人のプライバシーまで蹂躙する結果になるような文章が出てくるのは多いに問題です。たとえ不正確で反論したくても、その人はすでにいないのですし(もちろん「誰かの死で儲ける」という心理的な問題もありますが)。

 

検索エンジンの結果を過信するなかれ

先に書いたものやそこで触れた記事でも書かれているように、これらの根本には「たとえどんな記事であろうとも、注目度を集めればPVが増える→アフィリエイトでの利益に繋がる」と いう、ネット上の根本問題があるでしょう。故にそのような不正確な情報でもPVを集められてしまうということ、さらにはそのサイトの利益になるという構造についても再考する余地もあるでしょう。でなければ、検索結果もそこで掲載されるアフィリエイト広告も、信頼性を失ってゆくことになるでしょうし。

しかし読み手としても、検索エンジンにおける順位というのは、その正確性を示すものではないということは念頭に置いて、そのニュースが信じられるのかどうかを、自分で考え、判断する必要があるでしょう。自分がデマの中継元や人権侵害の加担者とならないように。

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