ビワの種を健康食品とするものに対し農水省から危険性注意

「ビワの種」やそれに類する言葉と検索すると、それを使った料理レシピの検索サイトや、健康に対する効力を謳ったサイト、またはその粉末を健康食品として販売しているサイトが出てきます(注・この記事を書く前日まではそうでしたが、後述の記事が広まったために、その記事の急上昇など順位変動が起きています)。

しかし先日、農林水産省のサイトにおいて、「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」という注意喚起の記事が出されました。

ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう:農林水産省

 

ビワなどの種子にはシアン化合物が含まれ粉末等による大量摂取は危険

上記サイトにある文章から抜粋すると、

ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ(サクランボ)などのバラ科植物の未熟な果実や種子の部分には、アミグダリンやプルナシンという青酸を含む天然の有害物質(総称して、「シアン化合物」と言います。)が多く含まれています。
一方で、熟した果肉に含まれるシアン化合物はごくわずかです。果実を未熟な状態で食べてしまったり、果実を種子ごと食べてしまったりすることは稀(まれ)ですので、通常、果実を食べることによる健康影響は無視できます。

しかし、種子を乾燥して粉末に加工などした食品の場合は、シアン化合物を一度に大量に食べてしまう危険性が高まります。高濃度のシアン化合物が検出されて回収が行われているビワの種子粉末食品のうち、特に濃度が高いものでは、小さじ1杯程度の摂取量でも、健康に悪影響がないとされる量を超えて青酸を摂取してしまう可能性があります。

というように、ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ(サクランボ)などのバラ科植物には、天然の有害物質(シアン化合物)が多く含まれており、果実として果肉を食べる分には問題ないのですが、粉末などにして大量に摂取できる状況にしてしまうと、危険性が高まるということです。

しかしながら、『インターネットや書籍の情報では、シアン化合物の一種であるアミグダリンを「ビタミンの一種」、「ビタミンB17」と称したり、「がんに効果がある」とうたったりして、アミグダリンが健康に良い成分としているもの』があると書かれています。そして実際に検索結果でもそのようなものが見受けられます(2017/12/6現在)。
しかし実際はむしろ、アミグダリンから体内で青酸ができる可能性があるため、健康への悪影響が懸念されており、海外では健康被害や死亡例が報告されているようです。また、国内でも回収が行われています。

■参考:アミグダリンについて (ver.090219)
■参考:消費者庁と佐賀県がシアン化合物を含む製品の自主回収情報を掲載 (171010)

 

また、最初にも書きましたようにこれらの単語で検索すると、ビワの種を使った料理レシピ検索サイトが表示され、そこでは実際にそれらを使ったレシピが書かれています。これらは粉末ではりませんが、前述の農水省のサイトでは、

原料であるビワの種子には高濃度のシアン化合物が含まれる場合があることから、ビワの種子を使った料理にシアン化合物が残っている可能性がありますので、食べる場合は注意してください。(ビワの種子に限らず、ウメ、モモ、スモモ、アンズなどの種子も同様です。)

と、注意喚起がなされています。

 

まとめ

要点をまとめますと、ビワの種を使ったもの(特に大量摂取出来る粉末)は、健康食品と書かれていても逆に有害で健康に害を及ぼす可能性があるということになります。ただ、これらの果実を食すること自体には通常問題はありません

 

昨年、医療系サイト「Welq」を発端として、そのあたりのものが問題になりましたが、インターネット上の健康情報はその根拠が非常に曖昧なものが多いです。その情報を鵜呑みにする前に警戒心を持ったほうがよいでしょう。

参考

「WELQの方がマシだった?」と専門家 ネットの医療情報は今、どうなっているのか
「今もまだ、大きな問題が残り続けている」と専門家。

 

追記

この後も果物のビワの種について「食べるとがんに効果がある」という情報が同じようにSNSで流れ、警告が出てニュース記事にもなりました。
以下は2023年2月16日のNHK記事。

エラー|NHK NEWS WEB

果物のビワやあんずなどの種や未熟な果実に含まれている「アミグダリン」という物質について、SNS上では「がんに効果がある」などとして種をそのままかじったり粉末にして食べたりすることを勧める情報が広がっています。

これについて農林水産省は、「アミグダリン」は天然の有害物質の「シアン化合物」の一種で、体内で分解されると青酸ができ、大量に摂取すると頭痛やめまい、おう吐などの中毒症状を引き起こすおそれがあるとして注意を呼びかけています。

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