以下の文章は、今から4年前の2013年4月25日に、別ブログ(空気を読まない中杜カズサ)で書いたものです。先日見直してたら見つけてこちらのブログ向きだなと思ったので、修正した上でここにも載せます。
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最近、ネットで記事に目を通していると、デマの流れていない日のほうが少ないのではないかと思えるくらい、毎日のようにデマや誤報がネット上に流れています。
そういった情報が流れる過程は様々です。明らかに自分に有利な情報を流そうとしてデマを流すもの、もしくはただの愉快犯としてデマが流されるもの。またデマという意識はなくても、情報の経路におけるちょっとした行き違いで、結果として情報がデマとして流布されてしまう場合も存在します。
しかし、書かれていることは嘘ではないのにもかかわらず、結果デマとして流れてしまうパターンを最近見かけます。それは日付を錯覚させることで生ずるデマ。
インターネットのアーカイブ性故の時制誤認
これはどういうものか。簡単に言ってしまいますと、過去に書かれた記事を何らかの手段によって現在目立たせ、それを最近のもののように錯覚させることで生まれる誤解から生ずるデマです。
ネットで記事を見る場合、それが昨日今日、もしくはつい最近書かれたものと思いがちです。特にニュースの場合その傾向が強いように思われます。これは新聞やテレビのニュースのような速報メディアを見るのと同じ感覚を受け継いでいるからというのもあるでしょう。
しかし、ネットはご存じの通り記事においてアーカイブ性が強くあります。故に過去のニュースでも最新のニュースと同じように閲覧することが可能です。その過去のニュースを見ることが出来るという性質はネットの大きな利点でもあるのですが、反面、見る側の意識によってはデメリット、すなわち事実の誤認が生じてしまうこともあります。それの最たるものが時制の誤認。
まとめのズレが引き起こす誤認
一例としては、これ。
■(archive)坂本龍一が学食で一人で食べてるクズに苦言 「すごく不愉快。無遠慮。人の気持ちを考えろと。」
スレ元は2013年のものですが、記事のリンク先を見ると、「2006-11-16」とあります。つまりもう7年も前の記事が2chでソースとしてスレが立っているわけです。古くのネットユーザーではすでにもう何回も見ている人は多いでしょうが、このような形で出てくると、さも最近発言されたように錯覚した人も多いでしょう。
また、記事自体も原文がちゃんともとのところで残っておりますので、まとめのみではなく、そちらで確認したほうがよいかと。
■ほぼ日刊イトイ新聞-矢野顕子について、坂本龍一くんと話そう。
ちなみにこれは定期的に出てきており、今でも最近為された発言のようにまとめられていて、そのRTがTwitterで流れてきたりしております。ググってみると年一ペースで。
ほかにも2ちゃんねるでは問題のある法律が審議入りとかいうスレが立つことがありますが、実はすでに過去のものであるということが多いです。
画像も時間のズレによりデマとなり得る
あとは、画像デマというのもありますね。つまり過去の写真をさも現在のように使うことで、事実と誤認する状態にしてしまうこと。 改変してある場合も多いです。
何故、このような時制誤認が起きるのか
これらの流布する過程は様々です。
今もよく特に見かけるのが、2chもしくは2chのまとめで、過去の記事やスレを引用したことで起きたもの。これらは3つの可能性が考えられます。ひとつはまとめた人が悪意があって、つまり時制の勘違いを起こさせる目的で過去の記事を引っ張り出してきたもの、もう一つはまとめるスレのネタが(ν速→嫌儲移住騒動などで激減して)なくなって、苦肉の策としてまとめたらそうなってしまったもの。そして三つ目は、2chで上のいずれかで立てられたものを、スレまとめしている人自体が確認せず、さも現在のように誤認してまとめたもの。
まあどれにせよ、デマの根源となってしまっているのです。
あと、はてなブックマークやTwitterなどで、最初の人が別に悪意などなく、過去の話題としてクリップしたら、ホットエントリーに上がってしまい、それが流布するうちに現在のものとして認知する人が出てきてしまったということもあります。自分の場合もたまに過去記事を参照用にブックマークするのですが、それを誤認すると悪影響の出る可能性のあると思ったものは、出来るだけ「○○○○年の記事」と書くようにしてあります。
他にもいろいろ複雑な要因があると思います。まあどれにしても最初からデマを振りまこうとしてこれを利用している人は論外ですが。
時制誤認が元ソースに与える影響
実は、この時間を錯誤させるものの恐ろしいところは、何も嘘をついておらず、悪いことをしていなくても最初のソースを書いた人(昔に元記事を書いた、もしくは画像を持ってきた人)も巻き込まれ、場合によってはデマの現況として悪者にされてしまいがちなところです。
特に有名人はメディアなどだったらその影響も大きいでしょう。逆に言うとデマを流したい人は、大手の記事を使って「この情報は大手メディアで流れている(から本当の情報だ)」と錯覚させることが出来るわけです。
でもそういう傾向になってしまったとしたら、インターネットのアーカイブ性が失われて、デマ防止のために昔の記事を消す方向になるという最悪のケースになってしまうので、その前にこのような時制誤認をなくす必要があるでしょう。
ネットの記事はまず日付を見よう
このように、ネットでは書かれていることや表示されているものが過去において、その場所で本当であったとしても、現在においては本当ではないというケースはかなりあり得ます。それを防止する方法は何か。これはそんな難しいことではなく、その記事の書かれた日付を確認すること。偽装をしていない限りは、最近の普通のブログ記事にはまず書いてあるはずですしね。日付を記してないものは、信憑性を疑ってかかるくらいの勢いのほうがよいかもしれません。最低でも、少しでも違和感を覚えたら、日付に目をやる習慣はつけておいたほうがよいと思います。
そして他にその記事をTwitterなりで流すなど記事を引用する時には、それが過去のものであり現在と錯覚すると誤解が生じるような要素がある場合、軽く日付の注意をつけるのもありかと思います。
ネットにはアーカイブ性がある以上、今までにも増してさらに記事が、そして過去のニュースが積もってきます。故にそのようなデマもさらに大きくなる可能性はあるので、日付確認の癖は今からつけておくべきでしょう。