グリー社員が任天堂の倒し方を知っていると言った話の信憑性

ネットのゲーム系のニュースにおいて、ソーシャルゲームプロバイダのグリー、もしくは最大のゲームメーカー任天堂が出てくると、昔から引き合いに出される話があります。それはグリーの社員が全盛期に、「任天堂の倒し方、知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」と言ったという話。ソシャゲーポータルはスマホアプリの普及もあって全盛期に比べて下がってきていますが、その関連のニュースがある度に、掲示板やTwitterなどでそれが引き合いに出されることがあります。

しかしこの話、実はソースがかなり曖昧で信憑性に欠けます。これは今までも指摘されてきました。にもかかわらず今でも知ってか知らずか流れ続けるので、ここで一度書いておこうと思います。

ソースとされる記事は伝聞

さて、この「任天堂の倒し方、知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」という発言、出元はわりとしっかりとわかっています。それは、2012年12月21日のZAKZAKにおける『任天堂のブランディング戦略 売上高では計れない“強み”』という記事。
既に記事は消えていますが、当時記事があったページはこちら
そして、このページにはアーカイブが残っています

■(archive)任天堂のブランディング戦略 売上高では計れない“強み” – 経済・マネー – ZAKZAK

こちらはWii U発売当初の記事なのですが、この中に

 ソーシャルゲームの爆発的なヒットを受け、ソーシャルゲーム業界の中には売上高だけの比較で任天堂を劣勢に見たい向きがある。だが、任天堂は売上高の単純な争いにはくみしないつもりのようだ。

実際、売上高だけが企業の価値判断ポイントなのだろうか。話はそれるが、最近面白い話を聞いた。ある人がソーシャルゲームで成功したグリーの面接を受けに行った時の話だ。若い面接官は履歴書を見ながら「ずっと、家庭用ゲームを作ってたんですねえ」とさげすむように言った後、「任天堂の倒し方、知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」と言ったそうだ。

(中略)

ちなみに、グリーの面接を受けた彼は別の企業へ転職したという。彼の知人は「任天堂は数々の浮き沈みを経験して今がある。その強みが理解できない企業の将来性に、なんとなく不安を感じちゃったんじゃないですかねえ」と語っていた。

という表記があります。
当時から、このまるで挑発しているような発言が話題になって、一部でこの記事をもとにしたものが広まっておりました。

ただ読んでみるとわかるように、これは「話はそれるが、最近面白い話を聞いた。」という伝聞の形式。しかも、発言者は「ある人」である、それもはっきりとしていないもの。
仮に記事にした人に話した人がいるとしても、本当にそんなその面接官は本当にそんなことを言ったのかというのの証明はかなり難しいもにになります。
よってそのまま信じるにはかなり信憑性としては低いものだと言えます。そもそも万が一そう発言する社員がいたとしても、それが他の社員がそういう思いを持っているなど、グリーの方針なわけでは決してないでしょう。

まとめサイトなどで度々引き合いに出される

しかし、インパクトが大きかったせいか、この後グリー及び任天堂関連のニュース(業績など)が出る際に、引き合いに出されることがよくありました。
どこが最初かは古くて消えているものも多いので調べるのは困難ですが、目立ったのは以下のところでしょうか。

■(archive)痛いニュース(ノ∀`) : グリーの面接官 「任天堂の倒し方、知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」 – ライブドアブログ

とりわけ、掲示板のスレッドタイトル及びまとめサイトでの記事として、これが使われることがよくあります。

■(archive)任天堂の倒し方を知ってるグリー、海外でのゲーム開発事業撤退へ 今後はVRなどに注力:はちま起稿
■(archive)任天堂の倒し方を知っていたはずのグリー、海外ゲーム開発から撤退へ!アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの拠点を閉鎖! : オレ的ゲーム速報@刃

そして今でもグリー&任天堂など、関連する単語で検索すると、前述の発言をもとにしたタイトルがつけられて、その中には本当に発言が為されただけではなく、中にはさも公式で発言したかのように印象付けられているものもあります。

これらには、ネットでのパターンとして、ウソ、もしくは信憑性が低いとわかっていて使われる人もいるでしょうが、それが時間経過とまとめなどによる利用、さらに伝聞で、本当のことのように受け止められている例も出ていると考えられます。

まとめ

まとめとしては、グリーの社員が「任天堂の倒し方、知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」と言ったというのはひとつの記事のしかも伝聞ソースであり、信憑性がかなり低いということです。仮に本当に言っていた人がいたとしても、1人の見解以上のものでもないわけで。故に今後もおそらく出てくるであろうこの手のアオリがついているものを見た時は、このことをふまえて注意したほうがよいでしょう。

余談になりますが、ネットではニュース記事が一定時間経つとよく消えるのですが、反面それは後から流れる情報の検証に支障を来す恐れもあります(一応アーカイブは残っているので可能なものもあるけど、必ずしも残っているとは限らない)。ついでに言うと、そういうのを広めたまとめの記事も、問題発覚時、もしくはそれ以前に消える場合も多いです。

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そのあたりについても、考えていかなくてはいけない問題かもしれません。

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