2017年7月9日頃から、Twitter上において、「タンポン型レイプ防止器具…実際に強姦魔の性器を引き裂く…」というタイトルで、以下のサイトにリンクされた記事が広まります。
7/1021:00時点での、サイトによるシェア数は5.9K(5900)。
■(archive)タンポン型レイプ防止器具…実際に強姦魔の性器を引き裂く… – ニュース
調べて見ると、記事が作成されたのは2017/6/24。その頃からTwitterでの共有はありましたが、7/9~10あたりで非常に多くなった模様。
2016年にもネットで流れたこの話題
しかしこのニュース、全く同じものが2016年の6月~8月にも流れています。
どうやらその時は2ch(もしくは2ch.scによる複製)をソースとして、そこからまとめられていた模様。
事件についての出元は海外の嘘ニュースサイトと思われる
さて、このニュースの出元とされているのは、news4ktla.comというサイトで、そこの以下のような記事があります。
■Man Loses Penis While Assaulting Woman Thanks To This ‘Anti-Rape’ Devise –
ここに、”the device sliced his genitals” (生殖器をスライスした)という表現で、暴漢がその性器を切り取られたという記事が載っています。おそらくはここがもとになり、日本語に翻訳され、2chにまとめられ、そこから日本の各サイト、ブログで記事になり広まったものと思われます。今回のも同じパターンか、もしくは過去に広まったものの流用と考えられます。
しかしながらこのnews4ktla.comというサイト、テレビ局風の名前がついているものの、実際はそれとはおそらく関係がなく、さらに偽のニュースを数多く流すいわゆる「偽ニュースサイト(もしくはニュースサタイア)」。
そしてこの記事においても、ニュース検証サイトsnopesにおいて”FALSE(偽)”の判定が出ております(ほかにも幾つか存在)。
アンチレイプコンドームは存在するが切り裂くようなものではない
しかし、今回広まったものは少し厄介なところがあります。それは記事の全部が嘘ではなく、真実も混じっているので。
前半の強姦魔が切除されたというのは前述の通り嘘ニュースからのものですが、後半のアンチレイプコンドーム「Rape-aXe」というもの自体は存在しているのです。
これは2010年、南アフリカW杯を目前とした時期に開発されたもので、”「Rape-aXe」がレイプ犯のペニスにがっちりと突き刺さり、ジッパーで挟まれたかのような激痛をレイプ犯の男性に与え、犯人が痛みでもがき苦しんでいる間に逃げることができる”というものです。
ただしこれは実在しますが、現在のところ製品化、配布されたというニュースはありません。
ただ、サイトではプロトタイプについての記事があり、クラウドファンディングで寄付を募っているようです。
両者は全く別物
しかし「Rape-aXe」はスパイク型であり、男性器を切り裂くタイプのものではありません。写真を見ても記事にあるように男性器を切り裂くような刃は存在していませんし、記事を見ても前半の「挿入したら性器が八つ裂きになる」と、後半の「傷は残すが出血はしないように設計されている」(これは設計されたのがエイズの流行している地域での出血による感染防止想定しているため)ということは矛盾しています。つまり上記の記事のものとは全くの別物となります(そもそも前者は存在していないのですが)。
そして実在する「Rape-aXe」がまだ研究されているわけで、それらに嘘を混ぜることはそちらにも迷惑がかかる可能性があります。
まとめ
というわけでまとめますと、
・「タンポン型レイプ防止器具…実際に強姦魔の性器を引き裂く」というニュースの元記事は、海外の嘘ニュースサイトがもとで、しかも2016年の夏にも一度流れている。信憑性はない。
・アンチレイプコンドーム「Rape-aXe」というもの自体は存在しているが、男性器を切り裂くようなものではない(出回っている記事のものとは全く別)。
・「Rape-aXe」自体も研究開発はされているものの、配布、販売されたというニュースはない。ただサイトは存在しクラウドファンディングも行われている。
ということになります。
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