誤訳デマとなり拡散した「WHOが性的パートナーを見つけられない人は障害者扱い」

本日、スプートニクというロシアサイトの日本語版にて、「性的パートナーを見つけることができない人は障害者扱いに」という見出しでニュースが流れる。

■(archive)性的パートナーを見つけることができない人達は障害者扱いに

この記事では『世界保健機関(WHO)は、独り身の人を障害者と同一視する。新しいスタンダードによれば、性的なパートナーを見つける能力のない人は、子供を作れない人、不妊者とみなされる。新聞The Telegraphが伝えた』という小見出し、があり、その後『これまで不妊者とされたのは、1年間、避妊をせず定期的に性行為をしても子供が授からない人達だった。またWHOは、障害者には皆「生殖の権利」があると指摘している。』とある。

chikyuu

デマの前歴が多いスプートニク

しかしながら、このソースとなっているスプートニクというサイトは、以前は「ロシアの声」という名前であり、それらはデマの常連サイトとして一部で有名であった。

■参考:「YouTube有料化」デマの真相 | R25スマホ情報局

■参考:【現・スプートニク】「ロシアの声(The Voice of Russia/VOR)」のクソ記事まとめ – NAVER まとめ

まとめサイトやそのツイートで拡散といういつものパターン

にもかかわらず、この記事をソースとして、各まとめサイトでまとめられてしまう。

以下検索上位に出て来たものの一例。

■(archive)【衝撃】「童貞は病気です」 WHO(世界保健機関)が衝撃発表wwwwwww【性的パートナー】:はちま起稿

■(archive)痛いニュース(ノ∀`) : WHO、性的パートナーを見つけることができない人を“障害者”に分類 – ライブドアブログ

■(archive)【悲報】「性的パートナーを見つけられない人は障がい者」と報じられる : オレ的ゲーム速報@刃 ※22:00に確認したところ、ここはタイトルは上の通りだが、文末では一応誤訳の可能性を書いてはいる(追記されたのかは不明)。

22:00の時点では、「性的パートナー」という単語がTwitterのトレンドワードにもなっており、22,461件のツイートがなされていると表示されている。見たところはスプートニク及び大半はまとめサイトのRTの形(あと若干私の要調査ツイート)。

元サイトの文章はそんな意味合いのものではない

スプートニク日本語版には「新聞The Telegraphが伝えた」とある。The Telegraphはイギリスの有力紙で信頼性もあるだろうが、ではどれがソースとされたのか。おそらくは以下。

しかし、「性的パートナーを見つけることができない人達は障害者扱いに」ということは書いていない。あくまで保健面での個人における権利の話である(要所を訳してみたものを後に記す)。

あのような形で広まってしまったのは、「誤訳」と「伝聞過程での違え」が発生している可能が高い。具体的には、文章全体を把握しないと意味が理解しにくい「disability」を、機械翻訳的に「障害」と訳してそのまま使ったからと思われる。しかし実態は独身男女のみならず、同性愛の男女においても制度的な権利を認めるべき、という権利を受けるための定義を拡大する勧告。しかし目立つ意味合いの「障害」が注目されてしまったと思われる(ちなみにスプートニクの元記事全文読もうとすると、日本語の文章として成立しておらず、把握に苦労する)。

しかも英語→(ロシア語?)→日本語で生じた間違いから、さらにまとめサイトに転載される過程で意図的か否か誤解釈がされていることにより、あのような衝撃的な「性的パートナーを見つけることができない人達は障害者扱い」、ひいては「童貞は病気です」などと違った意味合いで広まったと考えられる。

20:41時点でねとらぼもこの情報についてこの件についてニュースを出した。

ここも『元記事の「disability」を狭義での「障害」としている』とある。

まとめとして

「WHOが性的パートナーを見つけることができない人は障害者扱い」という事実はかなり誤解を招く表現となっており、その言葉で受け取られている意味合い的にデマ。誤訳と伝聞が導いたものと推測される。

海外翻訳ソースは慎重に

以前以下のようなものを書きました。

ここでは海外の風刺サイトからの嘘ニュースが、日本で翻訳されるときにまるで事実のように拡散される問題について書き、そして海外の驚愕系ニュースは嘘を疑った方がいいと書きましたが、このように風刺サイトではないもののソースとして信用できないサイトというものも存在します。なのでこのような場合も同じく海外の驚愕系ニュースは嘘を疑ってかかったほうがよいでしょう。

補足・The Telegraph記事について

テレグラフ紙サイトに掲載された情報は本文が長くなるので外したが、折角読んだのにもったいないので以下にメモとして書いておいたものを残す。今回機械翻訳の誤訳でデマが発生したので、可能な限りそれを使わず自力で読むことにした(単語検索は利用)。

元リンクのタイトル『Single men will get the right to start a family under new definition of infertility』だが、普通に読むと「独身の人も新しい不妊の定義のもとでの家庭を持つ権利を得ることになる」とある。読み進めてゆくと『WHO will declare that it should no longer be regarded as simply a medical condition.』とあり、「WHOは、単純な医学状態で不妊と見做すべきではないと宣言した」とある。

さらに読み進めると『 “The definition of infertility is now written in such a way that it includes the rights of all individuals to have a family, and that includes single men, single women, gay men, gay women.』とあり、新定義には家族を持つという個の権利について、そしてそれは独身男女、同性愛者の男女共に含まれる事が書かれている、と読み取れる。

さて、全体を見ると”surrogacy”、すなわち「代理出産」という言葉がよく出てくる。さらに以下、

Because wanting to have children would be defined as a disability, it could well strengthen the case of gay couples to be allowed access to commercial surrogates,” he said.

直訳で読むと、「障害者(disability)と定義されることを望む」という一目見ただけではなんだか妙な意味合いになるが、ここを全文の要旨踏まえ「(制度上)機能がないと定義される状態にあることを望む」と見なし、それにより「代理出産」が認められる状態になる、と考えると、大意が通じるのではないか。つまるところ「(男女夫婦のみならず)独身男性女性、それに同性愛の男女も制度の上で「その機能がない人」と見做される」ことにより、代理出産の利用を制度が可能にするという意味合いと取れる。

少なくとも出回っている「性的パートナーを見つけることができない人は障害者扱い」という意味合いではない。

※かなり意訳なので、あとで追加修正するかもしれません。というか読める方は是非自身で読まれて、指摘があったらお願いいたします。

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