海外英文記事から日本語記事へ
2015年12月7日、海外記事において「Finland plans to give every citizen 800 euros a month and scrap benefits」と、フィンランドが国民全員に800ユーロを支給へという記事が書かれる。
さらに「The country’s government will make a final decision on the plan in November 2016.」と、2016年11月までに決定するという方向のことも記されている。
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2015年12月7日、businessnewslineというサイトにおいて、「フィンランド、国民全員に800ユーロ(約11万円)のベーシックインカムを支給へ」というニュースが流れる。
■フィンランド、国民全員に800ユーロ(約11万円)のベーシックインカムを支給へ – BusinessNewsline
国内ニュースサイト、まとめサイトで拡散
2015年12月8日、国内のニュースサイトにて「フィンランドが世界初のベーシックインカム導入へ」という記事が出される。
■(archive)全国民に毎月11万円、フィンランドが世界初のベーシックインカム導入へ
同時に、2ちゃんねるなどを介してまとめサイトの多くもこれを採りあげる。
■(archive)痛いニュース(ノ∀`) : フィンランド、国民全員に月11万円のベーシックインカムを支給へ 社会福祉支給は全停止に – ライブドアブログ
■(archive)フィンランド、国民全員に約11万円のベーシックインカムを支給へ…複雑化した社会福祉制度を一本化 | ガールズちゃんねる – Girls Channel –
■(archive)フィンランドが国民全員に11万円を支給するベーシックインカム制度へ…複雑化した社会福祉制度をベーシックインカムに一本化:ハムスター速報
□その他:フィンランド、国民全員に月11万円のベーシックインカムを支給へ – Google 検索
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それがTwitterなどを介してさらにネットで広まる。
情報検証あらわる
しかし、ここでこのニュースに疑問を呈して調べる流れが出てきて、一つのブログエントリーが書かれる。
その結果、最初のニュースからもさらに遡っての情報の流れが判明(詳しくは当該サイトにあり)。
さらに、フィンランドの社会保険庁KELAがベーシックインカム報道について、「実権的研究(experimental study)」を「ミスリーディング(misleading)」させるものであるというコメントを出している。
駐日フィンランド大使館の訂正Tweet
さらに、駐日フィンランド大使館も、Twitterでこのことを否定。
ベーシックインカムの調査を行う社会保険庁KELAのページにも、これからプレリミナリな調査がはじまり、2016年の春に他国での実施状況の報告が政府に提出され、同年後半に試験モデルや調査計画がたてられ、2017年にトライアルが計画されている、って書いてあるよ。
— 駐日フィンランド大使館 (@FinEmbTokyo) December 8, 2015
そのソース元には、「これからプレリミナリな調査がはじまり、2016年の春に他国での実施状況の報告が政府に提出され、同年後半に試験モデルや調査計画がたてられ、2017年にトライアルが計画されている」と書いてあるとコメントが出されました。
■Universal basic income options to be weighed – Press releases – kela.fi
まとめ
フィンランドがベーシックインカムを導入するというのは、あくまでもこの制度の調査が始まるというだけで、決定したというのは誤報。
今回、前述の検証サイトでもあるように、英語圏で出されたソースの時点で既に伝言ゲーム的な情報のミスリーディングが起きていて、それがそのまま日本語に訳されて誤解のまま広まった感じです(さらにまとめサイトのコメントなど見るに、日本語になってからも伝言ゲームが起きている感じも)。
ただ、日本で間違いのソースが広まり始めた時点で、話題元と近い駐日フィンランド大使館が否定のコメントを即時に出したことが、誤報の広まりを抑制したと思われます。