日本で非常によく利用されるYahoo!やGoogleにおいては、サービスのひとつとしてニュースの提供があります。いわゆるYahoo!ニュースやGoogleニュース。そしてそれらは単体で配信をされているだけではなく、検索時にニュース関連の単語があった場合、その検索結果の中に挿入されることもあります。言うまでもなくYahoo!やGoogleは検索サイトとして日本でトップクラスであり、その利用者はかなり多くなっています。したがってこれらのニュースを目にする人も多いでしょう。
しかしながら、ここ最近、これらは度々デマ、誤報を広く拡散してしまっている原因のひとつにもなっているように思われます。それは「GoogleニュースやYahoo!ニュース、及びその検索結果で出てくるニュースは信頼出来ないサイトも含む多数のサイトから集められているために必ずしも信用出来るものと限らない」から。
GoogleやYahoo!は多数のサイトのニュースを集めているもの
GoogleニュースやYahoo!ニュースはそれ単体で(つまりYahoo!やGoogleが)報道を行っているというわけではありません。Googleニュースの場合はそれら報道機関のサイトへのリンクを集める形になっていますし、Yahoo!ニュースの場合は記事は同じですが、報道各社のサイトに繋がるのではなく、Yahoo!のサイトにそれを転載する形となっています。
これらの多くは全国紙、地方紙や通信社のサイトですが、テレビ局のニュースサイト、それにネット独自のニュースサイトも加わっていることがあります。しかしながらその中には、かなり信憑性の怪しい情報を発しているサイトが混じっていることがあります
信憑性が低いサイトも混じってしまうGoogleニュース
Googleニュースはかなり多くのサイトを対象にしているようで、ひとつのニュースにおいてかなり多くのサイトが関連として出ることがあります。これはどうやら申込制らしく、申請してOKだった場合そこが配信対象になるようです
もちろん審査はあるでしょうが、何も既存の新聞やテレビ、通信社といった報道機関に限っているわけではない、ということは留意する必要があります。
しかし調べて見ると、この中にはかなり信憑性について怪しいサイトも混じっていることも確かです。一応嘘ニュースは排除される傾向にあるようですが、それでも過去の記事でかなり信憑性が怪しい記事を多発し、デマの発信源となったようなところも混じってしまっています(もちろん既存メディアでも報道記事が誤報がないということはあり得ないのは過去の事例が示す通りですが、それにしても発信元として多いものが加わっています)。
具体的には以前書いたBusinessNewsline(なんか名前がnewsln.jpって変わっているみたいですけど、Google Newsでは本の名前で表示されています)、昔「ロシアの声」という名前で、その頃からニュースの信憑性の低さが指摘されていた「Sputnik 日本」など。
ちなみに画像にある「タコは宇宙人?!」は、デマとして否定されています。
■「タコは宇宙人とネイチャー誌に掲載」のデマが拡散 – ねとらぼ
そして最近Welqなど医療系で問題となった、信憑性の低いバイラルサイト、キュレーションサイトが出てくることもあります。これらは最近のアップデートや閉鎖で減ってはいるようですが、まだまだ残っているように見受けられます。
Yahoo!におけるニュースも色々なサイトから発信されている
そしてYahoo!ニュースですが、こちらは配信元の一覧が公開されています。
やはり新聞社や報道機関、通信社が多いですが、中にはネット独自のものもあり、その中にはかつでデマ、誤報の配信元になってしまったところもあります。それでもこちらのほうは度々ソース元に手が入っているようで、かつてステルスマーケティングの疑いが強いサイトや、誤報(NHKで放映された貧困中学生のもの)のソース元になったサイトの配信を取りやめたりしています。
アクセス数が多いが故に信憑性の低いサイトも集めてしまう
最初に語ったように、GoogleやYahoo!ではそのニュースページのほか、検索結果にもニュースが表示されます。さらにニュースが起きるとそれに関連する単語で検索をかける例は非常に多いでしょう(実際私のやっているブログでも、それに関連する単語が検索上位だったためにとんでもなくPVが跳ね上がったことが何度かあります)。故にそこで表示されるニュースに自サイトの記事が掲載されるようになればPVの大幅増加が見込めるわけで、故にそこに載せたいサイトも多いことでしょう。
しかしながらそれ故に質が悪い、ここで言えば情報の信憑性が乏しいサイトまで注目を集めることになり、更にその情報が検索をしてきた多くの人の眼に触れることになる危険性もあります。
最近話題になったキュレーションサイトやバイラルサイトの不正確な情報の伝播は、残念ながらこういった検索結果やニュースがその誤知識、誤報を広める一助となってしまったのは否定出来ないでしょう。
GoogleやYahoo!に限ったことではない
しかしながらこれはGoogleとYahoo!に限ったことではありません。他のポータルサイトでもこのようなことは起っています。いやむしろそちらのほうが多いというべきでしょうか。
たとえばニコニコのニュースポータルであるニコニコニュース。前述のスプートニク日本のほか、信憑性が低いサイトも掲載対象としているので、誤報の中継をしていまうことがあります。直近の例では「電子歯ブラシが爆発して歯がなくなったというデマ」をゴゴ通信が流したものがニコニコニュースで掲載されてしまったことがあるでしょう(参考)。
もちろんライブドアニュースやLINEニュースなど他のポータルにおいても同じことが言えます。つまり多数のニュースサイトを発信しているというのは、それだけ誤報が混じるリスクがあるということです。あと最近はTwitterでモーメントが強化され、色々なニューストピックが出てきますが、もちろん同じです(というかこれが今後一番心配……)。
信憑性をそのポータルのものと錯覚させてしまう問題
さらにが問題なのは、こういったニュースポータルにおいては信憑性が高めのサイトと低めのサイトが両方とも混じり、並列になってしまうことにあります。つまりここでは表示上は三大新聞であろうが、ネットのなんか怪しいバイラルサイトであろうが、同じ「Googleのニュース」「Yahoo!のニュース」として同一視されかねないのです。たしかに記事の引用元を見ればそれらは個々のニュースサイトなのですが、読み手にしてみればGoogleやYahoo!などを見に来た人なわけであって、そこの情報をGoogleのもの、Yahoo!のものと思い込んでしまう人も少なからずいるのではないでしょうか。
しかし前述のように検索を集めることを目的とした場合、サイトにとってもともと利用者が多いこの手のサイトは非常に魅力的ですので、載ろうという動きはまだまだ続くでしょう。今、ネットにおいてニュースの信頼性を保つための取り組み(嘘ニュースサイトの排除など)がなされているようですが、こういう問題もまたしばらく続くことになるでしょう。
ソース元や記事そのものを確認する習慣が重要
まとめとしては、最初に語ったように「GoogleニュースやYahoo!ニュース、及びその検索結果で出てくるニュースは、その見ているサイトの知名度に基づくものではなく、あちらこちらから集められたもの、そしてその中には信憑性のないサイトや情報も混じり得るため、発信元の名前を意識して信頼するのは危険」ということです。
故に最低限、ニュースを読む時はそのソース元や日付を確認してから読むべきでしょう。もちろん最良(というか本来すべきこと)は、利用者全員がどこが情報源であろうともその情報ごとに検証をして、信憑性を確認することなのですけどね。